■宮古島の蟹蔵さんを訪問
第1回宮古島の宝物・グランプリを獲得したカニ蔵さんを訪問。
にっぽんの宝物グランプリでは、「商品」と「人」と「ストーリー」でグランプリを選んでいる。
カニ蔵さんはまさに、その「人」と「ストーリー」の両方を持つ事業者さんだ。
カニ蔵さん(本名、吉浜さん)は、カニをこよなく愛する漁師さん。
といっても元々、漁師だったわけではない。
■宮古島の自然を守るために
この30年で、宮古島も伊良部島も開発が進み、環境破壊が進んでいる。
特に伊良部島は、昨年、東洋一とうたわれる美しい伊良部大橋ができたため、観光客がどっと伊良部島にも押し寄せ始めた。
ホテルの開発が進み、村の地大も何十倍、何百倍に上がってしまい、村人たちの生活を破壊し始めている。
お金が絡むと人は変わる。
カニ蔵さんは、環境を守ろうと、カニをそのバロメーターにすることを思いついた。
島のカニを養殖し、これを生活の糧としながら、自然を守る目安とする。
カニはマングローブ林の泥の中で生活する。
マングローブが怖されればカニは生きていけない。
カニが生きているということは、環境が守られているということに他ならない。
■観光開発の裏で
「開発が悪いといっているわけではありません。
良いところもあります。
環境を守れ、開発は悪だと言った単純な話ではありません。
みんな生活がかかっていますから・・・。
ただ、みんな島に何が起きているかを知る必要があります。
何十年もまえに、環境を守るために始めと言っていた開発工事の結果、何が起きたのかを・・・」
カニ蔵さんは古い写真を見せながら、島がいかに変わってしまったかを説明してくれた。
その理解を深めさせるために、わざわざ鉄砲魚まで準備してくださっていた。
「昔はこいつも島にいたんですが、いなくなったんですよ、もう・・・」
この話を聴くと、愛らしい鉄砲魚の見え方が変わる。
■ストーリーが持つ価値
カニ蔵さんのTEDのような話を聞いてから、観光客はカニ蔵さんとカニを取りに行ったり、昔ながらの舟、サバニに乗って、海へと乗り出していく。
その「ストーリー」を聞いてから海に出ると、海が全く別の意味を持ち始める。
僕らは、「ストーリー」を持つ人をグランプリで選んでいる。
ここで言うストーリーとは、その人の生き様であり、生涯をかけて追求している価値観といってもいい。
人間が美しいのは、この価値観があるからだと思う。
本物のストーリーは強い共感を呼ぶ。
こうした商品は、スーパーや百貨店で綺麗に並んでいる商品とは全く別の意味合いを持つ。
アマゾンの販売に勝てるのは、唯一、こうしたストーリー力のある商品だけだと思われる。
■にっぽんの宝物とは、一つの生き様
だから僕らはカニ蔵さんを応援する。
カニ蔵さんを応援しながら、カニ蔵さんが捧げている生涯の価値観を応援しているのだ。
にっぽんの宝物とは、にっぽんの生き様プロジェクトだと言っても良いだろう。
全国の事業者の中には、こうした「宝人」がたくさんいる。
カニ蔵さんに会って、僕らのやっていることは、こうした人たちにスポットライトを当て、力を与えていくことなのだと再度、確信した。
僕らはカニ蔵さんと一緒に、にっぽんの宝物を守っていく。
だから、金にならなくても僕らは遠い宮古島までやってくる。
でも、美談で終わらせるつもりはない。
金は憧れるものではなく、努力して作るものだ。
作れば力を持つことができ、その力で多くの人の夢を叶える仕組みを作ることもできる。
来年に向けて、宝物プロジェクトはさらに一歩、前へと進ませて行かねばと誓ったのであった。