■日本食の未曽有の可能性と忍び寄る危機
知ってます?
今、海外での日本食レストランの数が、11万8千店まで増えており、2年前と比べても3割増しなんですって。
アジアで2割増、中南米でも5割増、中東では6割増なんです。
此の前ドバイに行って来ましたけどありましたよ、日本食。
めっちゃ高いけど結構人が入ってるんですよね。
●TBS News 「海外の日本食レストラン、2年前と比べ3割増」 http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3205710.htm
でも2年で3割り増しってすごくないですか?
単純に行ってもこのまま伸び続ければ、将来、国内よりも国外の方が日本食需要が高いなんてことにも・・・。
これ、若い人も注目すべきことなんですよね、ホントは・・・。
将来自分がどういう道に進むべきかって思い悩む時、
「ああ、そうか。日本食を海外に提供する仕事なんてのは、アリだよね」
なんて考える人が出てきてもいいわけなんですよ。
でも実際はなかなかそうはならない。
■若者が進路を真面目に"考えない"
僕らずっと大学生の就活支援をやってきたからわかるんですけど、日本の学生の仕事の選び方は、ほとんど「考えてない派」が主流なんです。
ちょっとこれ見て欲しいんですけど、最新の就職・人気企業ランキングです。
1.みずほファイナンシャルグループ 2.三菱東京UFJ銀行 3.全日本空輸(ANA) 4.日本航空(JAL) 5.三井住友銀行 6.サントリーグループ 7.伊藤忠商事 8.東京海上日動火災保険 9.三菱商事 10.JTBグループ
です。
1位のみずほをはじめ、2位の三菱東京UFJ銀行、5位の三井住友銀行と、銀行系が3つも入っています。相変わらず人気ありますねー。
●上記詳細(キャリタス就活2018) https://job.career-tasu.jp/2018/guide/study/ranking/
別に悪くないんですけど、なんでそんなに銀行行きたいんですか?っていう話なんです。
恐らくですね、そんなに考えてないんじゃないかと思うのです。
学生に聞いてもそんなにはっきりとなぜ金融?なぜ銀行っていうのがないんですよね。
突き詰めていくと、それはただ人気がある職種だからなんとなく興味を持って・・・みたいなのが多いんですよね。
去年までのランキングを見て、ランキングの高いところがよさそうな感じだがするのでそこは一応、受けとこうみたいな・・・。
わかります。
ぼくらの時代もそうでしたから・・・笑。
既に人が並んでる店の方が美味しそうですもんね。
並びたくなりますよ、当然・・・。
■30年前から変わらない若者の傾向
で、試しにですね、ぼくらが学生だった頃のランキング見てみたんですよ
これが、30年前の就職・人気企業ランキングです。
●1988年就活ランキング(30年前) 1.日本電信電話(NTTの前身) 2.東京海上火災 3.三井不動産 4.日本生命保険 5.住友銀行 6.富士銀行(みずほ銀行の前身) 7.三菱電機 8.本田技研工業 9.東芝 10.三井物産
というわけで、笑っちゃうぐらいあんまり変わってないんですよ。今と・・・。
銀行、保険、商社、メーカーですよ、だいたい・・・。
ちなみに今のランキングから、メーカーがなくなってますけど、理系だけに絞ればまだ十分、メーカー希望者もいます。
だからあんまり変わってないんですよね、30年前と・・・。
●過去30年の就職人気ランキング http://rank.in.coocan.jp/shu30year.html
で、なんで銀行、保険、商社、メーカーが当時から人気だったかって言いますと、
一言で言うと「潰れなさそうだったから」というのが理由だった思います。
僕らの時はまだ終身雇用のイメーが強かったですからねー。
1位の日本電信電話なんかまさにそう!だって親方日の丸でしたから・・・。
■いつでも押し寄せる時代の変化
でもね、ほんとのことを言うと、潰れる潰れないは、結構、予測しにくいところもあり、
時代が変われば、あっという間につぶれる可能性が出てきてしまうわけです。
どんな仕事だって・・・。
ちなみに、つい最近、三菱UFJが、行員1万人を削減するって発表したしたんですけど、知ってました?
●三菱UFJ「約1万人削減」 銀行員受難の時代へ http://www.itmedia.co.jp/business/articles/…/25/news018.html
なんで削減かというと、これまで必要としていた業務に人がいらなくなってきたから。
だって皆さん、最近、お金、使わなくなってますよね。
ここでいうお金って言うのは、キャッシュのことなんですけど、世界で一番売れているお店、アマゾンの買い物にキャッシュ介在しないですよね?
だから銀行もリアル店舗での対応人材が急速にいらなくなってきている。
ぼくらが大学生の時には、銀行も数で勝負だと言わんばかりに、あっちこっちに増やしてたけど、
今となって店持ってる方がコストかさばって重荷になっちゃうんですよね。
これからその1万人をどうにかして別の仕事に割り振らないとダメなわけですよ。
■介在するのは教育の失敗
こうした変化に若い人はもっと敏感にならないといけないわけですが、その若い人に接触する機会が多いのは学校の先生なんですけど、
残念ながら社会の変化に一番疎いのが学校の先生なんです。
いやもちろん、そうじゃない人もいますよ。
素晴らしい先生も、いっぱいいます。
ただ僕はいろんな業界の人に研修をしているのでわかるのですが、スマフォを持ってない、まだガラケーのままですというのが一番多いのが学校の先生なんです。
スマフォ使ったことなければ、銀行振り込みもスマフォでできることもアマゾンの注文もスマフォでできることも、コンビニの支払いもアップルぺイでできることもわかんないですよね、当然・・・。
そんな人がいう就活指今の時代でいうと偏っちゃいませんかね?
あ、一つ言っておきますが、僕はそんなにテクノロジー礼賛派ではありません。
テクノロジーが関わる仕事にも強い関心がありますが、関わらない仕事にも十分興味を持っています。
例えば、食です。
■テクノロジーより面白い?食!
日本食が世界的に見てこれだけ力を持ち出しているのは、テクノロジーの力というより、
日本文化が何百年、何千年かけて作り上げてきた食のエコシステムがすごいからだと思われます。
魚なんてもうありえないぐらいすごい・・・。
漁師→市場→運送→魚屋
と鮮度を保つため、みんなが驚く程の協力、連携をし合っています。
だからパッと海外に行ってすし屋を始めようと思ってもできないわけです。
食材が調達できない。
だから海外でこれだけ日本食がブームになりつつあるってことは、その魚の供給システムだけを見ても大いに成長する可能性があるってことなんです。
去年、南米で寿司を食べましたけどまずいまずい・・・笑。
まだまだですよ。これを寿司と言うなよっていう・・・。
だったら今から乗り込んでいって、もっとちゃんとした寿司エコシステムの一躍を担えばいいわけです。
ちなみに、今、魚業界にも革命が起こりつつあります。
これはテクノロジーのお陰なんですけど・・・。
色々やって見た結果、マイナス50度の冷凍がすごくいいってことがわかってきた。
魚の鮮度を保つために・・・。マイナス50度だと、1年経ってもほとんどの人がとれたての魚との違いがわからないっていうんですよ。
だったら南米でもどこでもこれからは魚も運べちゃうわけですよ。
人が減ることしか予想されていな銀行よりも、日本食関連の分野の方が、ぶっちゃけ可能性は十分高いと思われるわけです。
でもこれも、数字ベースよりも実際に海外に行って自分の目で見てきた方がい思います。
シンガポールでも香港でも行って、どれほど多くの人が日本食を食べているのかを見た方がいい。
半端ない人が日本食を食べていて、もうあちこちに日本食レストランが増えてますから・・・。
でね、親御さん世代にも言いたい。
皆さんが古いブランド志向に囚われちゃってる可能性があるんですよ。
僕らの世代がもっと勉強しないとダメなんですよね。
「日本食、すごいよ。お前、これからは銀行じゃないよ。まずは和食の基本習えるとこに行った方ががいい」
みたいなことを言える親にならないと・・・。
■いい話ばかりではない日本食
あ、でもね、バランス取るために、日本食の悪い可能性も話しときますね。
いいことばっかりではありません。悪い知らせもあるんです。
すごく悪い知らせです。
日本食、なくなっちゃうかもしれないんです・・・。
マジです。
日本食の根幹は、一次産業なんです。農業と漁業です。
で、これを担う人が急減中なんですよ。
総農家数は、僕が生まれたぐらいと今を比較してみると、1965年で566万戸あったのが、2005年で285万戸です。50%減です。
農業就業人口は、同じく1965年に1151万人いたのに、2005年には、335万人です。71%減です。
で、実際、農業や漁業をやってる現場を見てみるとほとんど高齢者なんですよ、実際、魚をとってるのも野菜を作ってるのも・・・。
60歳、70歳で現役なんですよ。
でも農業、漁業って過酷なんで、そんな年齢だともう持たない。
あと10年経つと、日本の食はえらいことになるって言われてるんですよ。
はい、だから日本食が食べられなくなるってことなんです。
■高齢化だけの問題じゃない
で、実際、これほどの日本食ブームなのに生産者の実入りが少なすぎるんです。
もうびっくりしますよ。
僕らが関わってる「にっぽんの宝物」プロジェクトのセミナーにいらっしゃったある農家さん、お茶農家さんなんですけど、年収80万円ですよ。
80万円しか入らないのに、一生懸命お茶作ってくれてたんです。
僕らのために・・・。
で、そのお茶は業者に買い取られて、ブランド茶として、まあまあいい値段で売られています。
でも農家さんに入るのは80万円。
誰がこの職業を継ぎますかって言う話なんです。
これは現代の農業奴隷、農奴だと思うんです。
■そこから始まった"にっぽんの宝物"
で、僕も田舎出身なんで、田舎の良さ、ポテンシャルをわかってる。
そこで、7、8年かけて全国に仕組みを作りました。
そんな農家さん、漁師さん、あるいは加工業、サービス業の皆さんが、自分の商品をブラッシュアップし、学びあえる仕組みを・・・。
さらにはコラボレーションの力で今までにない新しいものを作れる仕組みを・・・。
この結果、これまでの農協、漁協とは全く違う流通経路ができ始めているんです。
その成果が、GINZA SIXで食べられるようになった「にっぽんの宝物ディナー」なんです。
農協、漁協を全面否定しているわけではありません。
でも大きな仕組みを作ると、小さな工夫が報われなくなってしまうんです。
日本の食は、この工夫する文化が奪われてしまいつつあります。
漁師の工夫、農家の工夫、加工職人の工夫、料理人の工夫・・・。
こう言う工夫が、大手流通では不都合なんです。
だから誰も工夫しなくなってきた・・・ただただイオンで並びやすい商品だけを作るようになってきたんです。
そうではなくて、小さな工夫をもっともっと評価しあって、そう言う工夫をした人にお金が入る仕組みを作りたいなーって思ったんです。
それが「にっぽんの宝物」なんです。だって、そうした技術の積み重ねこそが、日本の宝物だと思うんです。
■工夫を増やす仕組み"グランプリ"
7年かけて、全国に学び合いのセミナーと競い合いのグランプリという仕組みを作りました。
いまでは全国1000以上の事業者さんが参加する仕組みになりました。
お陰で、さっきの茶農家さん、グランプリで茶の加工商品で賞をとったんです。
賞さえとってくれればこちらはいろんなところに話を持っていけるようになる。
で、持って行きましたよ、海外に・・・・。
これが売れたんです。いろんなコラボレーションの力によって・・・。
結果、この茶農家さんの年収は、今や当時の何十倍になりました。今では人を雇うほどになったんです。
できるんですよ、数年で・・・。
そういうミラクル事例が今、いっぱい起き始めてるんです。
だから、日本の食、すごいじゃん。
■その成果を感じられるGINZA SIX
もっともっと頑張って欲しいよって思ったら、是非、一回、GINZA SIXにその成果を見にきて頂きたいんです。
彼らだけの力では何もできません。
僕らと繋がり、GINZA大食堂と繋がり、メディアと繋がったからこそ、彼らに新しい可能性が広がってきたわけです。
だから、皆さんとも繋がって頂きたいんです。
ちょっと召し上がって頂き、ちょっと自分の知ってるリソースとこの人たちを繋げられないかなって思って欲しいんです。
思い当る人がいなければ、SNSで美味しかったというだけでも十分です。
そんなことから回り回って、いろんな可能性が始まることも良くあることなんです。
というわけで、なんで僕がこんなに「にっぽんの宝物」に尽力しているかというのは、「日本食の可能性すごいよ、でも同時にすごい危機でもあるからだよ」ってことを多くの人に知って頂きたいからなんです。
だから声を大にして言います。
日本食をはうまい。でもうまいけど、僕らが守らないといけないと・・・。
■11月がラストです!
大好評のにっぽんの宝物ディナー、11月いっぱいで終了となります。
できるだけ多くの人に食べて頂きたいし、実際このプロジェクトのためにお世話になった方々、並びに、可能な限り、僕も一緒にいって料理の説明をさせて頂きたいなーって思ってます。
そこでちょっと頑張ってみます。
明日から金曜日まで、ほぼ毎晩、GINZA SIXに参ります・笑。
ほんとはちょっと辛い・・・笑。
そう、そのぐらい気合を入れてるんです。
一人でも多くの人に、僕の言葉で、日本の食にまつわる人がどれだけすごいかを説明させて頂きます。
でも僕だけでは物足りない!
今週は、この食材を作った事業者さんにも来ていただきます。
彼らのご苦労を聞くだけで、なんていうありがたい食なんだってことがわかります。これはうまいはずだと・・・。
ほんとは、今月いっぱい毎日だって行きたいんですけど、僕が今週の土曜からシンガポールに行ってしまうので、そこは行くことはできません。
■羽根、ほぼ毎日行きます!
でも下記のの感じで「宝物ディナー」を開催してしたいと思います。下記日程は僕も全部行きます。
13日(月) 19:00〜 羽根&宮崎事業者参加 15日(水) 18:00〜 羽根&千葉事業者参加 16日(木) 18:00〜 羽根 for 一般の皆さん 16日(木) 20:00〜 特別ゲスト向け解説 → 特別なお客様への説明中心、一般説明は少量。 →羽根が説明しますが、テーブルは別になります。 17日(金) 20:00〜 羽根&高知事業者参加 28日(火) 17:00〜 羽根&熊本事業者参加 29日(水) 19:00〜 特別ゲスト向け解説 → 特別なお客様への説明中心、一般説明は少量。 →羽根が説明しますが、テーブルは別になります。 30日(木) 19:00〜 最終日 打上げ!!
という感じです。
羽根さん頑張るなー。お財布も心配・・笑。
あ、料金心配される方がいらっしゃいますけど、一皿いちばん安いのは700円、いちばん高くても1200円です。
今回はまずは皆さんに驚きの味を体験したくて安めに設定してあります。
事業者さんのご苦労を知れば、この値段ではありえないって思うはずですよ。
だから僕も頑張っていけるんです。
というわけで、参加したいなーっていう方、ええ話やなーって思った方、是非、GINZA SIX6階、大食堂まで!