■大好評の宝物セミナー
琉球の宝物、第一回セミナーが無事、終わった。事業者、関係者、大学生など、100名近い人たちで会場は大いに盛り上がった。
まず、会場が良かった。ステージいっぱいに広がる360インチの大画面が、僕のプレゼンテーションに力を与えてくれた。
大画面で教えると、会場の引き込まれ方が変わる。だから僕のプレゼンももっと力のこもったものになる。その相乗効果で、研修効果も高まっていくのだ。
終了後、担当者の方がこういった。
「今日のセミナーを見て、これはうまくいくと確信しました。多くの事業者の皆さんも皆一様に良かったといってくれています。」
日本の宝物のセミナーが良い、いや、より正確には「良くなっている」のは、僕らだけの力ではない。全国の事業者の知恵と挑戦をそのまま、教材として使用しているので、 、机上の空論ではない、リアルな教材として学び合うことができるからだ。
さらに、アクティブラーニング、つまり、答えを教えるのではなく、皆で自社商品を持ち寄り、その場で全員参加型の商品開発を行なっている。ここに宝物セミナーが、実践的だと言われる要因がある。
「あんなディスカッションを会場でやってしまうというのは本当に驚きました。」
主催者の琉球銀行関係者のお言葉だ。
我々のセミナーでは、事業者が自社商品をもちより、「逃げない」ディスカッションを行う。
一般的に、地域社会の中では、他社商品の批評を、少なくともその事業者の前ですることはない。
感想を聞かれれば、食品であればうまいというに決まっている。
それでは、進化は起こらない。
今回、参加してくださった「べにいもたると(全文字ひらがな)」は、沖縄の定番お土産で、とてもよく売れている。
しかし売れている理由は、本当にその商品が優れているからというだけではない。昭和期に良い商品を作り、その結果、余波で売れている。沖縄という場所が持つ力で売れている、あるいは売っている場所がいいから、あるいはそれを超える定番商品がないからといった理由でも商品は売れるのだ。
宝物セミナーでは、あらゆる商品に改善の余地があると説く。
そこで、参加者全員で、その商品の「良い点」「悪い点」「改善案」を出し合うのだ。
それを全体でシェアし、ディスカッションをしながら等の事業者と、そこにいる全員の参考にしていく。
事業者のプライドを保ちつつ、やる気を引き出すディスカッションを導くためには、高度なファシリテーションの技術が必要になる。
褒め過ぎてもダメ、貶し過ぎてもダメ。
大切なことはいかに、その商品の課題を見つけ、改善可能なポイントを見つけられるかということだ。
■改善意識の芽生え
会場のある人が、べにいもたるとの形を変えたら?と提案した。女の子などが食べるには大きすぎるのでは?というのだ。
作り手の事業者の方は、うーん、でも売れてるんだけどなというお顔をされる。
そんな意見が出たら、すぐにその場の全員に手を挙げてもらう。
「では、この商品の形を変えた方がいいと思う人、変えないほうがいいと思う人、それぞれ手を挙げてください。」
9割近い人が、変えた方がいいという方に手を挙げた。
事業者さんは驚きの顔をされた。
「これは一つのマーケット調査です。どちらの声が正しいというものではありません。ただ、ここにいる人たちに聞けば、9割の人が、変えた方がいいと思っている。それを参考にするかどうかは、事業者さん次第です。」
今度は値段を安くした方がいいという人がいた。値段は誰でもやすい方がいいに決まっている。そうすると質は落とさなければならない。それでも安くするべきなのか?
「ではこれもみなさんの意見を聞いて見ましょう。値段を下げた方がいいと思う人?」
1割にも見たなかった。
「では、値段はそのままでいいと思う人?」
8割近い人があげた。
「値段をあげた方がいいと思う人は?」
パラパラとほんの少しだけ、あがった。
「値段は相応だと納得している人が多いということがわかりました。」
事業者は大きくうなづく。
こうした全体参加型のディスカッションを使うと、事業者の心に強い「改善の意識」が芽生える。
セミナー内でのこうした体験が、事業者が、本気で商品開発をやってみようという原動力につながっていくのだ。
しかし、実際には、セミナー会場だけでははうかがい知れない事業者サイドの課題もある。だから僕らは、実際の現場にも足を運ぶ。現場に行くとさらにいろんなアドバイスが可能になる。
アドバイスといっても答えではない。一つの視点にしか過ぎない。だから僕らは複数の視点を与え続ける。
あくまで、最終意思決定者は事業者なのだ。僕らはその判断を促すための判断の材料を与えているにすぎない。
地方で普通にビジネスをやっているだけでは、なかなかそうした刺激は得られない。だから僕らのセミナーに出ていただいて、グランプリに出て最終評価を受けて頂き、さらに全国大会へと足を踏みこんでいくと、どんどんと事業者の能動スイッチが入りはじめ、連鎖的に良い商品が育ってくるのだ。
地域の事業者には隠された力がある。それを引き出し、さらにブラッシュアップを導くのが我々の仕事だ。
今年は、この方式で10近い地方都市で、セミナーとグランプリが開催される。
今年はどこがグランプリをとるのか?
沖縄本島は、初参加ながら、グランプリを狙える事業者が出てきそうな予感がする。
沖縄のトップ銀行はバックアップしているというところも大きい。地元のビジネスのエコシステムをになっているコミュニティー・ハブが宝物の協力者になる時、宝物プロジェクトの成果は倍増する。
沖縄本島でのグランプリは、10月27日。一般の方も見学できるので、是非、現地で会いましょう。