■学生の皆さんへ
今週末、Slush Asiaが遂に開催されます。昨年はこのSlushにかなりのエネルギーを使いましたが、今年はほんとになーんにもやってない・笑。学生の皆さんが一生懸命やってくれているからです。
やってることといえばこうして情報をシェアしているぐらい。でも健気に今年参加している学生から「お世話になった羽根さんへ」と今年のイベントへのご招待が来たのでお礼にメッセージを書いてみようと思う。
前略
Slush Teamの皆様
お元気ですか?この写真のように取っ組み合いになっていませんか?アンティの金髪を引き抜いてやりたいってなったりしていませんか?
その点、僕らは良かった。泰蔵さんから引き抜くものがなかったからです。
いや、そんなことはどうでもいい。
恐らく、直前で、息する暇のないほど忙しいと思いますので、3分だけ息抜きをしてほしくて、このメッセージを書かせて頂きました。ちょっとくらい役にたつかもしれません。
さて、一昨年の11月、孫 泰蔵さんさんに連れられて、フィンランドでSlushを見学させて頂きました。学生が主体的に動かしている様子を見て、これはすごいなと、正直、驚きました。
実際、そのSlushを生み出す母体となったアールト大学という大学を訪問させて頂き、そこでAntti Sonninen(アンティ:現、Slush Asia CEO)に会いました。
アンティが大学を案内してくれたんですが、あんまりにも日本語がうまかったので、オーロラ色した石でも売りつけられるんじゃないかと少々、心配していたのですが、熱く、Slushやアールト大学に対する思いを伝えてくれました。
フィンランドでは、大企業に入りたいと思う学生が多かった。しかし、その大企業であるノキアがスマフォ戦争に敗れ、学生は途方にくれたんだそうです。
そんな時、世界を相手に戦えるスタートアップ企業がフィンランドに現れ始めます。これだ!そうか、自分で起業することで生き残っていけるんだと・・・。
そんな思いで、学生がSlushを始めたというのです。
ほんとかよっ・・・。
かっこいい話はにわかには信じがたかったのですが、大学を案内してもらい、その大学がやってきたことを聞くにつれ、ああ、なるほど、これはいくつかの偶然と必然がうまく重なって、この国で確かに面白いことがおこっているんだということがわかりはじめました。
■「失敗させたがる」教授
アールト大学は、ユニークな大学で、工学の大学とデザインの大学、そしてビジネスの3つ大学が一つになってできた大学でした。1,2年の時は各専門を学び、3年になると三つの学部生が「デザインファクトリー」という校舎に集まります。
ここでは、各学部の学生がチームを作って、いろんな会社からのオファーを研究します。研究といってもただ論文を書くといったものではありません。「プロトタイプ」、つまり」、試作品を作ってしまうのです。
工学、デザイン、ビジネスの三者がそろえば、最低限のアイデアを具現化することができます。その試作品を作って教授のところにもっていきます。そして何度もダメだしをされたあと、ある程度のOKがもらえたら、初めて企業にプレゼンに行きます。
この中から、実際に世界的な企業に採用されるようなアイデアも出たということです。
ここで教授が声を大にしておっしゃっていたことを、皆さんにお伝えしたいと思います。
「私達がここで一番力を入れることは、『学生に失敗させること』です。ここは『失敗』が起きやすい場所なんです・笑。『失敗』が起きれば、我々の教育は成功したということがでいます。」
こんなことをニコニコしながら教授はおっしゃっていたのです。
サディスティックな教授だなーと思いました・笑。
でも恐らく、教授らは、その失敗から多くのことが学べるということをわかっているのです。
確かに、スタートアップにおいて、いやビジネスというフィールドにおいて、失敗はつきものです。
どんなに素晴らしい理想を描いていても、その通りに事が進むとは限りません。
僕のビジネス経験からいっても、10出したアイデアの9ぐらいは失敗するといっていいんじゃないでしょうか?
でもですね、「ああ、だめだ」と思ってからが勝負なんですよね。
ちなみに、僕は、ここ数か月で、二つ、三つ、大きなイベントをプロデュースをさせて頂きました。これ、どちらも初の試みのものばかりでした。
その間、「それはできません」と100回ぐらい、関係者に言われたと思います・笑。
でもそんなことではあきらめません。
「なるほど、できないですよね。わかります。そりゃあ、無理ですよね。はっはっは(といっしょに笑う←ここ重要)!ですよねー、いや、ほんとそう思います。だからですね、今日来たんですよ。それを承知で、どうすれば別のアプローチ、異なったアプローチができるかってことを話したくて・・・。」
と、もっかい思考のスタートラインにもどしてしまうわけです。にこやかに・・・笑。
だめだっていっても、それはダメだって思ってるだけで、そんなにダメでなかったりすることが世の中には数多くあるわけです。
■ダメだと思ってからが勝負
例えばルール。
ルールでできないというのは大概大丈夫です。
ルールだったら安心してください。変えられます・笑。
なにしろそれは人が作ったものです。人が作ったものなら変えられますよ・・・。
実際、今回も「絶対にできません」と言われたことを、何度もOKにしていただきました。
いやー、関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
一つ、事例をあげておくと、現場の担当者では意思決定ができない場合があります。そこでどんな話をしても問題解決にはつながりません。
そこで、意思決定ができる相手に事情を話し、ご理解を頂く。これ有効です。
担当者を責めてはいけません。
担当者は、ルールを守らせるという役割を果たしているので、彼らは彼らで立派に役割を果たしているだけなんです。
ただ、ルールではなく、どう頑張ってもダメな場合もあります。
物理的にダメな場合です。
外国であるプロジェクトをやったのですが、ある部品が届かなかった。そいつがないと致命的ってくらい大切なものです。発送業者に聞いたら、飛行機が故障して飛ばなくなった、しかも飛行機は次に飛ぶのは、イベントが終わってからです。
うーん、万事休す・・・・。
なんて思ってはだめなわけです。まあアジアやアフリカでは飛行機なんか飛ばないものなんですよ。
そこから知恵をしぼらないと・・・。
本当にだめなのか?いろいろ考えました。
で、思いつきました。誰かに手で持ってきてもらうというシンプルな方法です。あらゆる手段を尽くして、同じ方面に飛んでくる人を探しました。
いませんでした・笑。
そりゃあいないは。便の悪いところだもの・・・。
でも近くの近くまでは来る(けっこう遠いけど)。そこまで来てもらえればなんとか、続きは探せるかもしれない。で、GOサインをだしました。そこまでだけでももってきてほしいと・・・。
で、案の定、翌日、別のリソースから、その続きを運べる人が見つかりました。その次の次も・・・。
合計4名の手を通って、大切な部品が会場に届きました。
イベントの前日です。
■笑って、そして集中する
無理と思ってもあきらめないでください。なんとかなるもんです。土台無理、というところからどう思考を回転させ、方法を考えるのか?
そう、普段、こういう、ありえないっていう体験をしてないとそこで思考停止しちゃうんですよねー。
だめと思ってから思考を回転させると、思考回路自体がそういうだめ状況をOKとみなすようになってくるんですよね。
だめってなったら、にやっとする・・・みたいな・・・。
あ、そうそう、この、にやって、大切です。すごく・・・。
大変な状況の時って、みんな真っ青になってますけど、顔色悪くなっても状況変わらないじゃないですか?
そんな時は開き直って、「にやっ」とするに限ります。
だってもう笑うしかないじゃないですか。
そこでわめきちらしたり、人につらく当たってももっとしんどくなるだけです。
笑ってください。ジョークにしちゃってください、その状況を・・・。
「しゃれにならないよー」
って笑い飛ばすと、一瞬、みんな和みます。
和むと、一瞬、頭がリフレッシュします。
その頭のリフレッシュが大事なんですよね。
笑ったら全力で解決策を考えましょう。ただただにやにやしていたらいいというものではありません、もちろん・・・。
笑って、そして集中するのです。
僕はいつも最高に困った時に、笑うようにしています。「きたきた、これは過去最高にしんどいや。これは後でいいネタにできる!」と・・・。
実際、しんどいことは、後で振り返るとギャグみたいに笑って振り返ることができます。
■過去最高のイベント
というわけで、Slushを運営している皆さん、今週、皆さんは死ぬほどしんどいと思います。
ってことは、きっと過去最高に面白いギャグを作れるってことです。
ありえないようなことがいっぱいおこってるでしょ?
あれが足りない、これもできてないって・・・。
保証します。過去最高のギャグを皆さん、今、作っている最中なんです。だいたい、幕張で数千人を集めた大規模イベントを学生だけでやるなんて、あほです。バカすぎますよ・・・笑。
だって、元グーグル副社長、現ソフトバンク社長のNikesh Aroraですよ。アンティがオーロラの石をもってくるほうがまだ現実味があります。でも本物のアローラを呼んじゃうんだから・・・。
さらにアリババ、Chief Technology OfficerのJIAN WANって・・・。そんなランクを学生イベントで集めちゃうって、もうこの1年で、日本の学生イベントの質が完全に変わってしまったわけです。
こんな場を学生がプロデュースするってことは、過去日本史上絶対になかった。
間違いなく、日本で学生が主体的に開いているイベントで、過去最高のものをあなたたちはプロデュースしているわけです。
ということはですね、保証します。
絶対、失敗します・笑。
それも過去最大級の失敗を皆さんはするはずです。
きゃーっ、こわーい!
だとしたら・・・・。
もう笑うしかないじゃないですか?
笑っちゃってください。もう爆笑ですよ。これだけの人をまきこんで注目を集めちゃったんだから・・・。
こういう時、ジョークで場を盛り上げられる奴になれたらもう最高です。
で、ひとしきり、笑ったら、はっと冷静になってみてください。
大丈夫!
方法はあります。絶対に切り抜ける方法があります。
去年のチームでも何度もそんな場面がありました。
去年のチームはすごかったよ。
日本でも有数の修羅場をくぐってきた人達の集団だったから、みんな「ダメ」ってなってから、俺が私がとダチョウ倶楽部みたいに、やらせてくれっていう人達ばかりでした。
でもその時、猪突猛進はだめです。
そこで必要なのは「集合知」なんです。
去年も、みんなで考えるといろんな奇跡的ないいアイデアがでてきた。いや、それでも出ない時もあった。
そんな時、みんな自分の持ってる人脈を最大限に使い、その筋の最高の人に教えを乞いにいったわけです。
そう関係者の関係者、つまり友達の友達のリソースをフル活用すれば、いくらでも解決策は思いつくものです。
■最後に
あと数日、もう寝られないほどしんどいと思います。
でもあきらめないで!まだ方法はあります。
困ったらいつでも相談に乗ります。遠慮なく来てね!
最後に一つ!
もう一つ、Slushみたいなものを成し遂げるために必要なもの、それは相手に対する思いやりです。
ベタだけどこれは大切!
こいつ、腹たつなーって思っても、相手の立場からみるとそう見えててそれしかできないんだから、それは受け入れてあげよう。
それができる余裕がでてくると、大人数の人を巻き込めるイベントが楽しめるようになります。
アンティのことが腹がっても決して金髪は引き抜いてはいけない。
なんどもいうけどその点僕らは良かった・・・。
やめとくね・笑。
要は視点移動ですよ。視点を変えること!
というわけで、まとめます。
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<今までにない新しいことを始める時> 1.最初から失敗すると思っておく 2.できないと思ってから思考を回転させる 3.大変な状況になったら、これはギャグだと思う! 4.猪突猛進より集合知・友達の友達も巻き込もう 5.相手の立場を考えてあげよう!視点を変えよう!
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この5つがあれば絶対に大丈夫!
さて、ここまで長文を読んでくださったSlush運営者ではない皆さん。こんな頑張りを行っているのが学生だという驚きを自分の目で確かめにいきたくないですか?
今週の金曜と土曜です。
僕がちょうど、一昨年、フィンランドで受けた衝撃を味わえると思います。
フィンランドからもいっぱい手伝いにきてますしね。
僕は金曜から行きます。是非、幕張で会いましょう!
1万5千円するけど、決して高くない、一生ものの体験ができると思います。
学生さんは7500円だから、1日のバイト代を費やすぐらいでしょ?その価値は十二分あります。
お申込みは下記から!
●Slush Asia 2016 http://asia.slush.org
後、学生さんで、自分もなんか挑戦してみたいと思ったら、こちらもお勧め!
ネクストさんで、こんな面白い取り組みをやってくれるんですって。つまりは自分で会社作ってみたら?ってことです。すごいな、会社つくれちゃうって・・・。
Slushといい、ネクストといい、皆さんがうらやましいです。
●Next 100 Entrepreneurs http://next-100-pjt.strikingly.com
僕もがんばろっと!
あ、こんな僕とお話ししたい人、ALオープンDAYってのがあるので是非、遊びにきてね♪
●AL Open Day http://www.als.co.jp/#!work-with-us/mbhpr