■舞い込む指導依頼
8月4日、茨城県の中学高校の先生が集まる中、アクティブラーニングについて指導を行った。200名を超える大人数。
今年はほんとに「アクティブラーニング」の指導依頼が絶えない。
以前は、「教育手法の向上」とか、「伝え方の技術」とか、ざっくりした指導依頼が多かったが、最近の教育機関からの指導依頼はいつも「アクティブラーニング」を教えてほしいという直接指名。
時代は変わった。
国の意思決定というのはやはり大きいとつくづく思う。国が意思決定をし、その方向に舵を切ることで、多くの人が影響を受けるのだ。
■国が持つ影響力
最も大きな意思決定は、実はアクティブラーニングの導入ではない。大きかったのは2020年センター試験を廃止するという決定である。
センター試験を廃止し、それ以降、自分の考えを述べさせるテストに切り替えていくという。
そのために高校、中学、小学校では、その準備として、アクティブラーニング式の教育を開始すべきという意思決定なのだ。
2020年といってもそんなに遠いことではない。もう5年後のこと。つまり、今、中1の学生さんは、大学生になる時、新しい試験に対応しなければならないのだ。
センター試験と連動させたという文科省の戦略は、とてもうまいやりかただと思われる。
ただアクティブラーニング的なことをやるべきだといっても誰も本気でやろうとはしない。大学に入る仕組みを変えてしまえば、自ずとその前段階の教育も変わらざるをえなくなってくる。
そうした宣言があったからこそ、今、高校、中学、小学校が、これはまずいぞと本気になっているのだ。
このままでは、有名高校や有名大学の進学率ががらっと変わってしまう可能性がでてくるからだ。
試験のための教育、が根付いていた日本の教育システムを逆手にとった見事な戦略であったと言える。
これからも東大合格率ナンバー1をうたいたければ、アクティブラーニングでの準備をせざるを得なくなるということだ。
国の変革、そんなことは関係ないと思う人もいるだろう。いやいや、なかなかどうしてその影響力は大きい。
そう考えると、国がやろうとする良い動きは素直に褒めたたえ、そうでないものはしっかりと問題だと伝えていかなければならないと思った。
1988年、センター試験の導入が決定された時、だれもそれが大きな影響を及ぼすとは思ってなかったに違いない。結果、日本は30年に渡り、暗記しかできない考人材を輩出することになったのだ。 国の意思決定は、あとで大きな影響を及ぼす。